世界農業遺産とは、国際連合食糧農業機関(FAO)が2002年に開始したもので、次世代に受け継がれるべき伝統的な農業・農法・農村文化・農村景観などを「地域システム」として、保全と持続的な活用を目的に、仕組み全体を認定するものです。
認定地域は、世界15ヶ国36地域です。
・ペルーのアンデス農業
・中国の青田の水田養魚
・石川県の能登の里山
・新潟県の佐渡の里山 など
日本では、8地域が認定を受けています。
和歌山は梅生産の全国シェアの6割を占め、収穫量は50年連続日本一です。
梅の産地となったのは、この土地を生かした工夫と、ここに暮らす人達の知恵が生み出した生産システムがあったからです。
梅システムとは、養分に乏しく崩れやすい斜面を梅林として活用しながら、400年に渡り高品質な梅を持続的に生んできたこの地域の農業システムのことです。
崩れやすい梅林に、備長炭の原料にする薪炭林を残します。
薪炭林は梅の生育に必要な水分を蓄え、土壌の崩落を防ぎます。
そして、薪炭林に住むミツバチが花粉を運び、梅の生育を助けます。
薪炭林から梅林、平地へ水が流れることで野菜などの栽培を可能にし、地域を豊かにしてきました。
「梅システム」の世界農業遺産認定を目指し、国連食糧農業機関による現地調査が、2日間に渡り実施されました。
3名の現地調査員が、みなべ町と田辺市の薪炭林や梅林などを巡りました。
最終日の最後に意見交換会が開催され、和歌山大学の准教授による「梅システムの保全計画活動について」の説明の後、地域住民がそれぞれ取り組んでいることや世界農業遺産認定への期待を発表しました。
私達も住民の代表として、発表させていただきました。
イタリア・ローマにある国連食糧農業機構(FAO)の本部で最終審査があり、和歌山県知事や市長らが最後のアピールをしました。
日本からは、岐阜県の長良川流域と宮崎県の高千穂地域が申請しており、3地域とも認定を受けました。
最終審査の後、即日で認定を受けました。
ローマから電話で報告を受け、集まった町民の皆さんと一緒に梅ジュースで乾杯をしてお祝いしました。
世界農業遺産認定を記念しフォーラムが開催されました。
県内外から約450人が来場し、連携や外国人観光客の呼び込みなど、遺産を活用した地域復興について講演と討論会が行われました。
農業で活躍する人のひとりとして登壇し、地域住民との連携について話をさせていただきました。